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ブログリレー ~ショートステイ藤の木の里~
2024.11.01
法人本部
認知症予防
藤の木原デイサービスセンター施設長 吉澤寛
今回は認知症についての情報と認知症予防の考え方についてお知らせいたします。
「認知症」とは脳に何らかの原因で障害がおこり、生活に対して支障が出てしまう状態の事です。因みに「認知症」とは病名ではなく“症候群”であり加齢による一般的な物忘れ状態とは異なります。
では、加齢による「もの忘れ」と「認知症」はどう違うのでしょうか。
もの忘れは体験したことの一部を忘れたりしますが、何かのヒントがあれば思い出せたり忘れたという事を自覚できたりしています。例えば、『食事を食べたことは覚えているが、何を食べたかメニューを忘れてしまう』ことは「物忘れ」の可能性が高い一方で、認知症は脳細胞の急激な破壊により体験したことの全体がすっぽり抜け落ちたように思い出せなくなります。先ほどの例で言えば、食事を食べたこと自体を忘れてしまい生活にも支障をきたします。
認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症が挙げられます。
【認知症の治療】
認知症の治療は、薬物療法と、リハビリテーションなどの非薬物療法が主体です。
いくつかの稀なケースを除き、認知症を完全に治す治療法はまだありません。そのため治療は、残された機能を維持しながら、不安、妄想、不眠など、日常生活の支障となる症状を軽減・改善することが目的となります。
認知症の種類の中でも最も割合が多い症例がアルツハイマー型認知症です。簡単に説明しますと、何らかの原因で脳に“アミロイドβ”という特殊なたんぱく質がたまります。それが神経細胞を破壊して脳が委縮する事により、主に記憶障害、言語障害、予測不可能な行動といった症状を発するものです。
この“アミロイドβ”がたまる原因についてははっきりと解明されていませんが、加齢や遺伝、生活習慣(運動不足や考える・記憶するなどの認知的活動が少ない生活習慣)が原因と考えられています。
さて、このアルツハイマー型認知症の治療ですが、先日新たな治療薬が承認されたことが話題となりました。今までの治療薬は脳において認知的な活動に大切な神経伝達物質であるアセチルコリンの濃度を高めて認知症状減退の緩和を目的としていたものでした(神経伝達物質を助けて症状を緩和しようとするもの)。先日承認された治療薬は、アルツハイマー型認知症の原因と考えられている“アミロイドβ”の塊に対して、免疫反応を利用し脳内から取り除けるのではないかと考えられています(アルツハイマー型認知症の原因物質事態を取り除こうとするもの)。今回の新薬承認は、アルツハイマー型認知症治療として次のステージに進んだと歓迎される一方で、副作用の懸念もあり慎重に使用判断がされていくものと思います。
認知症とその治療について簡単に説明いたしましたが、どの病気の予防をみても前段に「生活習慣」が入ってきます。先ほどの治療薬の様に医療は日々進歩していますが、脳領域についてはまだまだ決定的な治療法は見つかっていません。したがって私たちができる事は「生活習慣」を意識して病気を予防する事です。認知症予防については適度に運動し脳に刺激を与える事が予防になるという事でした。そこで当デイサービスセンターではそれらを踏まえた活動を推進しています。例えば個別の余暇時間に行っている脳トレーニングです。計算問題や記憶に関する問題。塗り絵なども脳への刺激があり効果的です。つまり脳を意識的に使う事で脳の神経細胞を活性化させる事を目的としています。また個別機能訓練としてご利用者が日常生活を営む上で必要と考えられる運動能力の維持向上させるためのトレーニングも実施しています。そして最も効果的なのが運動と思考を一緒に行える活動と言われています。例えば卓球やゲートボール等は高齢者でも盛んにおこなわれているスポーツですが脳はこれらのスポーツを通じ、試行錯誤しながら体を動かすこと(脳へのインプットとアウトプットが繰り返される)で良質な脳刺激を受ける事が分かっています。このような理由からデイサービスセンターでも日替わりで頭と体を同時に使うユニークな運動レクリエーションを取り入れ、楽しく認知症予防を行っています。その様子についてはインスタグラムでも随時配信していますので是非ご覧ください。
より健康的な老後を営むためにも今のうちから生活習慣を見直すきっかけになっていただけると幸いです。