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ブログリレー ~ショートステイ藤の木の里~

2024.04.25

法人本部

介護業界における生産性向上について

 

令和6年度介護報酬改定の中で、テクノロジーの導入による業務の生産性向上を要件とする、生産性向上推進体制加算というものが盛り込まれました。それに伴い、藤の木の里では、昨年12月から3カ月にわたりICTを活用した業務改善を実践する外部研修へスタッフに参加してもらいました。

今後、生産年齢人口が減少していく中、介護業界においてもDXによる生産性の向上については、喫緊の課題と言えます。今回の研修ではこれらを進めていくためのプロセスやチームに対するリーダーシップについて気づきと学びがありましたのでこのブログを通じて報告したいと思います。

 

まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)とはどのようなものなのでしょうか。経済産業省によると、

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっていました。

(経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』より)

 

では、介護業界におけるDXとはどんなものだろうと調べると、IT技術を活用して介護の現場を効率的で高品質なものに変革する取り組みを指すそうです。具体的には、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ICT(情報通信技術)などのデジタル技術を導入し、事務作業の効率化や、ご利用者の見守り、ロボットによる身体介助が図られるのではと期待されています。

 

この度の研修は、ICTを活用し業務改善を行う為のリーダーを育成する研修となっていたため、私が適任と判断した職員を参加してもらいました。人選についてはICTに興味を持っており、他者にある程度の説明が可能なことを判断基準としました。スケジュールは、3カ月間で3回のオンライン研修を行いながら、実際に業務改善を進めていき、都度課題の提出があったため、参加した職員には、少々負担がかかる研修ではありました。

 

藤の木の里ではその研修の課題として、『会議などで決まった事が全員に共有されていない』事を業務改善のテーマとし、ICTをどのように活用したら決定事項が全体に周知されるのかを課題として進めていくことになりました。

 

改善方法としては、LINE WORKSを活用して周知するという方法で進めていったのですが、普段からスマートフォンなどを使って情報収集できる職員にとっては容易なことも、慣れていない職員にとってはわずらわしさしかない様子で、結果としてはすぐに改善されるものではなく改めて業務改善の難しさを知りました。

業務改善を行う時、「別に今すぐ直さなくても良いのに」と思う人が多く、業務改善が進むようなものは容易に取り組めるが効果がいまいちわからないようなものに向かうことがしばしば見られます。業務プロセスを根本的に見直そうとして、いくら旗を振っても職員がついて来てくれず、「そんな時間はない!」などの猛反発を受ける事になります。このような、人間の心理にどのように対応していくのかも課題の一つになりました。

 

では、他業種ではどのようにDXを進めているのでしょうか。これを調べると実は他業種においても進んでいない現状が伺えました。DXによる業務改善が進まない要因をchat Gptで検索してみると以下の通りになります。

 

〇DXに関する知識を持つ人材が少ない。

〇システムの維持管理にもコストがかかるため投資する資金がない。

〇経営層においてDXを推進するビジョンや経営戦略、ロードマップが描けていない。

〇既存事業で忙しい:DX推進担当者が既存事業への業務量を減らさずにDXを進めようとすることがあります。

これではDX推進のための時間を確保できず、DX化が進まなくなってしまいます。

これらの要因は私の事業所においては正に当てはまるため、なるほどと納得してしまいました。

 

 

そもそも何のために業務改善を行うのか?

  • 何のために…サービスの質を上げるため、ご利用者との時間を作るためなどいくつか挙げられるでしょう
  • 誰のために…自分のため?ご利用者のため?法人のため?

 

人間だれしも損得で動くところがあります。自分にメリットがあるかどうかは積極的に協力するか、拒否するかの判断基準になることは仕方がないことと考えます。

 

これらを踏まえて今回の研修をどのように進めていったのか。業務改善をどのように進めていけばよいのかをまとめます。

 

もっとも重要なことはキーパーソンとなる職員をいかに上手に巻き込むかです。また管理者自身も明確なビジョンを持って臨み、現場が改善しやすいような環境構築を行っていくこと、当事者としての意識を高め“やらされた感”をなくしていくことが重要になります。傍観者ばかりの無関心な現場に対し、いかに現場主導の業務改善を継続し、企業の風土として定着させていくかだと考えます。

そういった意味でこの度の研修では業務改善におけるリーダーを養成し、チームへの働きかけ方を学んできてくれました。担当者は「ホームランのような大きな成果を狙うのではなく小さなヒットを重ねながらチームには成功体験を積んでもらうことで業務改善へのモチベーションを高めてもらいたい」と一人ひとりに声をかけながら進め、また業務改善後の未来を根気強く伝えることで職員の意欲を高めていきました。その結果業務改善を意識する職員が増えて行き、業務改善のチームを発足する事にもなりました。

 

最後になりますが、今回の研修課題としてチームで行った業務改善は小さな改革でした。しかしこの経験を職員一人一人が積み重ねる事が業務改善を前向きに行える企業風土を醸成していく事になると考えます。今後、生産性を向上させるという大きな目標を達成するためにも、まずは組織作りが目下の課題となりそうです。

 

 

ショートステイ藤の木の里 施設長 吉澤 寛

 

 

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